担当検事と初対面
担当検事が決まり、人生で初めて検事という職業の人に会った
まず見た目に度肝を抜かれた
正義の味方というより悪の権化の様な風貌だ
(ハゲてるから)スキンヘッドでキリリと鋭い眼光、
背が高くガッチリ体型
検事というより、ヤクザの幹部という感じだ
年齢は50代くらい
口調もオラオラ系だったが、
要所要所でものすごく気遣いを感じる
検事は、こう言った
「犯人の男、反省なんかしとらんな ナメとる。ああゆう奴は出所して再犯するタイプだ。 出来るだけ長く入ってもらわんといかん。犯人が動機を否認したままなので、あなたや目撃者の方にも裁判に出てもらう事になると思います。全力でサポートしますので、覚悟決めて頑張りましょう」
事件後に車で保護してくれた女性も、検察で検事に聴取されるらしい
偶然あの日あの場所であの時間に居合わせただけなのに
彼女には大変な迷惑をかけしている気がして心苦しかった
裁判が無事終わったら、何かの形でお礼しようと決めた
裁判では、証言者はつい立てで囲われ、犯人からは顔が見えない
私の本名は犯人に明かされるが、顔や住所等その他の情報は絶対に明かされない
本名が明かされるのが不安だが、名前だけは明かさないといけないらしい
検事との面談が始まった
警察で聞かれた事を、1からまた検事に説明する
事件後数ヶ月が経っているので、記憶もかなり曖昧になっていて苦労した
体を触られた時の話をするのは何回やっても本当に嫌だった、
どこを何回、どういう風に、と細かく言わなければならない
検事が気遣ってくれてるのは感じるが、嫌なもんは嫌だ
いい歳して何を言ってるんだ
と思われる方もいるかもしれない
でもその気持ちに、年齢は関係ないと思う
経験値も関係ない
10代でも20代でも30代でも嫌なものは嫌だ
自分のプライベートな箇所を無理矢理触られたショックは、
無条件にキツイと感じた
本能的にキツイんだと思う
それを他人と情報共有しなければならない違和感は半端なかった
相手が男ならなおさら嫌だが
女友達に対しても言いづらい
家族にはぼかして伝えるのが限度だった
検事は言った
「相手の弁護士があなたに連絡を取りたがっているので、連絡先を教えてもいいですか?おそらく慰謝料の話だと思います。示談はせず、慰謝料を受け取り、そして告訴するという権利があなたにはありますから」
訴えるし、慰謝料も貰う
そういう事も出来るのか…正直驚いた
お金をもらう時は示談する時だけかと思っていた
性犯罪の場合、示談で済ます被害者が多いと聞く
だけど私は示談などする気はハナから無かった
もし慰謝料が貰えるなら、そのお金を受け取り、その上で告訴する
犯人に二重の罰を与える
それはとても良い考えだと思った
「わかりました。弁護士さんに連絡先を教えてもらっても大丈夫です」
検事にそう伝えた
検事との初めての面談は2時間程度で終わり、続きはまた後日という事になった