警察による実況見分

  

パトカーが現場に到着した

 

私とその運転手の女性は、

個別にパトカー内で警察の聴取を受けることになった

 

警察官は全部で3人

運転席と助手席に男性警察官

女性警察官が1人、後部座席にいた

 

きっと通報の内容から、こういう配置で被害者の話を聞く様に

マニュアル化されているのだろう

女性警察官の存在はこういう時には、ありがたい

少しホっとする

 

警察の物腰はとても柔らかく

私への配慮が伺えた

 

彼らは私の怪我の状況と、事件の内容を把握すると

一旦交番に戻り、準備した後、

すぐに実況見分を行いたいと言った

 

地面で打った箇所から血が滲んでいて、

頭の打った部分が皮下出血のため

尋常じゃないほど盛り上がってきていたので

私は一刻も早く病院に行きたかったのだが

幸い骨には異常は無さそうなので

警察は受診の救急性は低いと判断したようだった

 

そう判断されたのなら仕方ない

私は当日の実況見分実施を受け入れた

 

起こった事を細かく説明し

その内容を警察官が再現、その姿をカメラで撮影

その状況や現場を指さした姿の被害者(私)を入れて撮影

なきじゃくった後でボロボロの顔のまま撮影されるのは

かなり嫌だった

 

そして自分の記憶のあいまいさに驚かされた

犯人の背格好や

倒された後何をされたのか

 

①抵抗して、股間を触られた

②犯人の覆面の赤く縁取られた丸からずっとこちらを見られていた

 

それ以外はほとんど覚えていなかった

どちらの手で、どの方向から

どのくらいの時間等、

細かいことは一切覚えていなかった

 

警察は、私の回答が曖昧な事から

何か隠している可能性を探っているようだった

 

 

 

 

 

本当に、他には何もされなかったのか?

 

 

 

 

 

きっと事件直後、されたこと全てをうまく伝えられない

もしくは伝えない被害者が多いのだろう

 

 

股間を触られた

この内容を、まったく知らない人

たとえそれが警察官にでも話す事はかなりの抵抗を感じた

 

私は普段なら下ネタもどんと来い、むしろウェルカムな側の人間だが

自分の意志と関係なく、大切な箇所を触られる恐怖は

耐えがたいことだった

 

純粋ぶってるわけでは決してない

本当に心から怖かったのだ

間違いなく、人生で一番怖い目にその日遭った

 

 

実況見分の後、

交番で、女性鑑識官と二人にされ

触られた場所に犯人の皮膚が残っているかもしれないから、と粘着テープ付の器具を渡され、

触られた箇所に当てるよう言われた

 

これは自分でやっていただく方がいいと思うから

と鑑識の方に気遣って頂き、

自分で何度も器具を服の上から押し当てた

何度も何度も押し当てるよう言われ

何度も何度も押し当てた

 

 

なんだかみじめになり、泣けてきた

 

 

全てが終った頃には朝になっていた