被害者になった日 2

後悔先に立たず

人生はなにが起こるかわからない

 

 

母は、夜中まで飲み歩いてる私によく言った

ちゃんとタクシーで帰ってくるんだよ

宵目だったらわかんないんだから

あんたみたいな年増(36歳)だって

襲われるかもよ?

 

 

母は正しかった

タクシーで帰れば良かった

後悔は先に立たないって真実だ

 

 

公園近くは暗いから、犯罪が起きやすい

誰もが知ってる常識

でも後の祭り 私はもう襲われたのだ

今襲われてるのだ

 

 

 

 

犯人に股間を触られ

事態の深刻さを悟った私は

それでも腹の底から絶叫した

 

 

 

 

ギャーーーーーー!!!!!!

 

 

 

すると、犯人がいきなり立ち上がり

公園に向かって走り出した

 

「へ?」

 

 

自転車のそばに落ちていた鞄に目もくれず

一目散に走り去っていく犯人を目で追いながら思った

 

 

「あ、やっぱり目的は、金じゃなかったんだ」

 

 

 

でもなんで、いきなり逃げた?

呆然としながらも 人生で稀に見るパニック状態

走り去る犯人に向かって叫び続けた

 

 

すると

路上にへたり込んで絶叫している私に向かって

二台の車が向かって来るのに気づいた

 

 

 

「助けて!助けて!」

 

 

 

号泣しながら叫び続ける私を

その車はまさかのスルー

 

一時停止はしたものの

走り去ってしまった

 

 

私のパニックは継続中、

しかも通行車にスルーされた私は心の底から絶望し

さっきまで会っていた彼に電話する事にした

 

 

何回もコール音がするが 出ない

一度切り、またかけ直す、出ない

 

 

 

そのうち、LINEのメッセージが来た

 

 

 

 

「今、話せない」

 

 

 

 

 

彼にはそばで寝ている妻子がいるのだ

私達は不倫の関係だった