弁護士と初対面

 

弁護士から早速電話が来た

女性の弁護士だ

ものすごく低姿勢な印象だった

 

この度は大変ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません

まるで犯人の身内か何かのような物言いだ

 

犯人の両親が私に会ってお詫びしたいと言っているので、是非とも会って頂きたい

と言う

 

 

犯人の両親に会う必要は無いと思った

その親に同情してしまうと思ったし、20歳過ぎた男の犯行に親の責任は問えないと思ったからだ

 

すると弁護士は犯人から手紙を預かったのでそれを渡したいと言った

私は弁護士と会うことにした

 

弁護士との初対面の日が来た

Googleで弁護士事務所を検索し、私の市に結構あるんだと気付いた

今まで裁判と無関係な人生だったから気付かなかったな

 

その弁護士の印象は、普通の何処にでも居そうな地味な女性という感じ、私より歳が若いか

物腰がとても柔らかく、

心の底から被害者の私に同情している風だった

彼女自身にも娘がおり、この事件の担当になった事で犯人から逆恨みされるのが怖い

被告人に会ったが、ものすごく気持ち悪い印象で、反省している様にも見えない

なぜ、私がこんな事件の担当弁護士に指名されたのか、事務所に対して恨む気持ちすらある、と感情的に言った

 

とても人情味溢れる対応だ

私はすっかりその弁護士に心を開いていた

 

 

慰謝料の話になり、金額はお任せということになった

 

相場は20万くらいだとネットに載っていた

そのくらい貰えれば、少しは気が晴れるかなと思った

 

 

弁護士は最後に私に犯人が書いた手紙を渡した

 

「こんな手紙渡されても気持ち悪いですよね。読んだら捨ててもらっても構いませんので。」

 

私は受け取り、その場で読んだ

 

普段使わないような堅苦しいお詫びの文章を、子供のような字で書いてあった

 

きっとこの弁護士に言われて、何かのテンプレートを参考にして書いたんだろう

 

犯人が自分で書いた内容は一つも書いていないという印象だ

 

 

こいつは反省などしていない

出てきたら必ずまたやる

そう感じた

 

訴える事で私の本名が犯人に明かされる

逆恨みされるかもしれない

 

一緒に訴えている他の2人の被害者のうち、1人は私と同じ、強制わいせつ致傷だが、

犯人は私だけ動機を否認している

 

要はカギを握っているのは私なのだ

裁判に出て証言する事になれば、犯人が1番恨むのは私になるだろう

 

でも、だからこそ

ヤツをこの手でぶち込んでやる

犯行はエスカレートしてきていた

しかも短期間でめまぐるしく

短い刑期で出てきたら、またやる

新たな被害者が出る

その人はきっともっと酷い目に遭うだろう

 

私がやらないといけない

被害者の中で最年長だし、なんの因果か私にお鉢が回ってきたのだ

 

だから私が頑張んなきゃ…

やるしかない、そんな気持ちだった

 

その気持ち悪い手紙を受け取り、慰謝料を受け取る日を決め、

弁護士との初面談を終えた