周囲の反応

 

「ごめん」

 

電話をかけた後、30分ほどして現場にきた当時の彼は

現場でパトカーの中にいる私を見つけそう言った

 

ここは「大丈夫?」なんじゃないか?

「ごめん」ってなんだ?

 

 

 

「そんな時間になんで、公園なんか通ったの!

こんなこと、お父さんには言えないよ!」

 

当日、交番からかけた電話で、母はこう言った

 

 

 

「油断したな」

 

自宅で会った父は言った

 

 

「何にもなくて本当によかったね」

 

ある友人はそう言った

 

 

 

犯罪に巻き込まれたことを伝えたときの

周囲の反応はいろいろだった

 

そのほとんどが「言わなきゃよかった」と思わせた

 

そんな中で、私を慰めてくれたのは友人Aの反応だった

Aは心から悲しんでくれているのがわかった

 

Aは過去に辛い目に遭った事がある子だった

まったく同じ内容ではないが

性犯罪で警察沙汰になった事がある

 

きっとその時の悲しい気持ちを思い出したんだろう

悲痛な面持ちで、誰よりも真摯に話を聞いてくれた

 

ただ話を聞いてくれ、軽く流されないことが

こんなにも救いになるのだと思った

 

 

 

“変な男に襲われて怖い目にあったけど、

車が通りがかったので深刻な事にはならず無事だった“

 

 

 

私に起こったことを、簡潔に書くと上記2文になる

怪我も大したことはなくラッキーだった

これは間違いない

そう周りに説明していたし、それが事実だった

周囲は徐々に「よかったよかった」で終わっていった

 

 

でも事件から受けたダメージはジワジワと私を侵していた

混乱していた

 

気持ちの整理はついていないけど

もう事件を消化しなくてはならない

だって実害は「何もなかった」のだから

そう、自分で自分に言い聞かせていた

 

 

何回目かの警察署での聴取の際、若い女性の警察官に私は言った

 

「実際服の上から触られただけですからね、実害は無い様なものですし」

 

すると、その警察官が大声で言った

 

「何言ってるんですか!?こんなに怖い目に遭ったのに!

 実害あるじゃないですか!!」

 

 

 

 

正直ほっとした

そうだよね 私はすごく怖かったし

怪我もしたし

 

被害者扱いされるのも居心地悪いけど

「何もなかった」と軽く扱われれるのも嫌だった

 

私の心に寄り添ってくれた人は少なかったが

ゼロじゃなかった

本当にゼロじゃなかったのは救いだった

感謝している